天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

長崎

大浦天主堂

 長崎には仕事で出張しただけで、多くの場所を見ていない。時間を見つけて、出島、グラバー邸、旅館花月眼鏡橋、爆心地 などの観光スポットを訪ねたにすぎない。歴史の事実を踏まえて詳しく見て回れば、深い感動が得られるはずなのだが。短歌には、長崎の原爆に関わることが多く詠まれているが、キリシタンの迫害や出島、軍艦島などについては、あまり例を見ない。


  長崎の古(ふ)りにし家にうらがなし畳はてりて日はいや
  闌(た)けぬ              島木赤彦


  あはれあはれここは肥前の長崎か唐寺の甍にふる寒き雨
                     斎藤茂吉
  うらさびしピエル・ロテイがお菊にも似たるひとなし
  長崎の夏               吉井 勇


  立ち直るために瓦礫を人は掘る 広島でも長崎でもニュー
  ヨークでも              三枝昴之


  広島のウラン長崎のプルトニウムなぜなぜなぜの蝉は
  たゆまず               今野寿美


  確かめてまた一年の過ぎきたる平和を想ふ長崎の日は
                     永廣禎夫
  「長崎の鐘」転調のところにて歌手は大きく闇を抱き寄す
                     佐藤通雅
  長崎も三たびとなりぬ其のたびにこころの沈むこと多くして
                     清水房雄