天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

熊(続)

テレビ放映画像から

 2009年2月28日のブログの続きである。雑食性で冬には穴居して冬眠する。本州にはツキノワグマが、北海道にはヒグマが棲息する。敷物になった皮を時折見かける。
 中国では、クマの手のひら(熊掌)が高級食材として珍重されている。日本でもその肉が、流通量は多くないものの、食用にされている。漢方やアイヌの民間療法では、熊のあらゆる部分が薬用とされる。わけても熊の胆(くまのい)は強壮剤・腹痛薬・解熱薬などとして珍重される。


  みやまぢに住む荒熊も子をおもふ友にはなつく心あるらむ
                   夫木集・藤原為家
  たはやすく弾丸(たま)に撃たれて雪山をまろび落つる熊は
  映画に撮られぬ              半田良平


  猿よりも豚よりも広きところを占め遊べる熊を博人(ひろと)
  は喜ぶ                  服部直人


  行って帰れば又檻の壁たましいの野生責めつつ羆また行き戻れ
                      佐佐木幸綱
  アマツボの銃の照準(ねらひ)は定まれりこの弾道を熊踰(こ)
  えむとす                 松田一夫


  得入るそののちを撃たれたる熊が映りをり柿の木に実をもぎ
  ゐるところ               花山多佳子


  冬眠の熊も寝返りを打つかなどと思ひの山にいよよ分け入る
                       恩田英明
  単独の熊のあはれは思ふだに人におどろく鼓動やいかに
                       三井ゆき