天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

熱海桜

熱海糸川にて

 今年も熱海の糸川に早咲きの桜(熱海桜)を見に行った。天気予報では雪が降るようなことだったので、前日に長靴を買って用意していたのだが、当日は晴れて雨の気配さえなかった。タクシーに乗って行く先を芸妓検番といったら、川筋が違っていた。記憶違いだった。バスを待っていた老女三人づれに糸川の場所を聞いたら、桜が見ごろなことまで三人が一斉に教えてくれた。


     ひよどりの声に驚く桜かな
     早咲きの桜うれしき目白かな
     糸川を狭めて咲ける桜かな
     バス停の銀座から見る桜かな


  バス待てる媼三人に道きけば話やまざり糸川桜
  昨夜降りしみぞれのやみて青空の朝に匂へる糸川桜
  あかあかと固きつぼみを開きたり目白飛び交ふ糸川桜
  ひよどりを隠すほどなる花の間に目白飛び交ふ糸川の空