天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鷲(続)

NHK・BSの放映画像から

 2009年7月21日のブログの続きである。尾白鷲、大鷲などは冬に渡来。海岸に棲む。巣は岩や大木の上に作り、昼間行動して魚や鳥獣を捕食する。


  忍ぶ山こさ地の奥にかふ鷲のその羽ばかりや人にしらるる
                 拾遺愚草・藤原定家
  信濃なる須賀の荒野を飛ぶ鷲のつばさもたわにふく嵐かな
                      賀茂真淵
  山空をひとすぢに行く大鷲の翼の張りの澄みも澄みたる
                      川田 順
  立山に棲むとは聞きし大鷲の目交にして跳びたつを見き
                      川田 順
  冬空の羽白熊鷲、海をゆく風切り羽根の鳴るおと聞こゆ
                      岡野弘彦
  鷲ひとつ山間を飛びゆける見つ飛ぶことの孤独知りて間もなし
                     佐佐木幸綱
  積む雪が氷層となれる狭谷にいぬわしの声空より落ち来
                      中西悟堂
  狗鷲(いぬわし)も樹神も死にき一撃の音閉ぢ込めて山は昏れたり
                     百々登美子