天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

嘴(くちばし)(2)

BSテレビ「グレートネーチャー」

 鳥類以外でも嘴という器官を持つものがいる。哺乳類や爬虫類の一部に見られるもので、例えば、カモノハシ、烏賊、恐竜、翼竜 などである。ガラパゴス諸島に棲むフィンチ類の嘴の研究から、チャールズ・ダーウィンの進化論が生まれたことはよく知られている。


  くちばしに鳥の無念の汚れゐて砂上に肺腑のごとき
  実こぼす              小中英之


  くちばしの刎ねて落としし花のかず満天星(どうだん
  つつじ)枝叢がうへ         阿木津英


  銜(くは)へ来し小枝はくちばしより落ちぬ改札を抜け
  君に笑むとき            栗木京子


  くちばしを砂に寝かせる死の鳥もあはれ天へは墜落
  せざりし             浜田蝶二郎


  顧みる折々はあれ我常にくちばし軽く舌薄くして
                    小暮政次