天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

壁(1)

NHK-BS「京都御所」から

 家の四方を囲うもの、建物の仕切りとなる平板状の部分(外壁)、または室と室の隔てとなるもの(内壁や間仕切り壁)。「塀」と同義で使われることも多い。


  まどろまぬかべにも人を見つるかな正しからなむはるの
  夜の夢              後撰集駿河


  真萩ちる庭の秋風身にしみて夕日の影ぞかべに消え行く
                 風雅集・永福門院
  見るままに壁に消え行く秋の日の時雨にむかふうき雲の空
                風雅集・進子内親王
  秋の雨の窓うつ音に聞きわびて寝覚むる壁にともしびの影
                風雅集・藤原公宗女
  みまかりし子の落書のある壁を妻は惜しむか移らんとして
                     木俣 修
  白壁を隔てて病めるをとめらの或る時は脈をとりあふ声す
                     相良 宏