珊瑚

　サンゴ虫の群体の分泌した石灰質の骨格。サンゴ礁はそれと石灰藻とが堆積して生じたもの。サンゴ虫は、触手と隔膜をもち円筒形。口・胃・腔腸がある。受精卵は浮遊して着生、芽生により生長する。日本近海では、四国沖、九州西部、小笠原の海底の岩石に、アカサンゴ、モモイロサンゴ、シロサンゴなどが生育している。昔から装飾品に加工されてきた。

　　満月の潮(うしほ)のまにまおびただしき珊瑚の卵遠く
　　ただよふ　　　　　　　　　　　　　　長沢一作

　　海底のサンゴが抱く白き骨守り続けた一兵の意志
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平山良明
　　わだつみの闇に珊瑚の放つ卵(らん)　散華のごとし
　　散華なるべし　　　　　　　　　　　秋元千恵子

　　珊瑚の彩にこころ染まれる旅の夜は青きさかなとなりて
　　眠らむ　　　　　　　　　　　　　　片平阿佐子

　　出来るだけ生きのびんと思う　メレヨンで珊瑚のかけらと
　　なるよりは　　　　　　　　　　　　　中野嘉一