天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

円覚寺の白木蓮

円覚寺開基廟にて

 もくれんの咲く季節になると毎年訪れるのが、北鎌倉円覚寺の開基廟である。ここの庭には、昭和八年に魯迅から贈られた白木蓮がある。受付で百円を払うと、線香一本に火をつけて渡してくれるので、それを廟の前の灰鉢に立てて礼拝する。そしてベンチに腰かけて逞しく枝を張った木の白い大きな花々を見上げる。500円払えばお茶が出される。


     蹲踞して弓を立てたり桜咲く
     みどり顕つ木五倍子むすめの簪に
     一陣の風にさはだつ浅みどり
     おはやうと龍隠庵の幤こぶし
     木蓮線香けぶる開基廟
     さくら咲く池のほとりの虎頭岩


  舎利殿の庭に読経のこゑひびき外国人とわが覗き見る
  この年も白く大きく咲きにけり魯迅たまひし木蓮の花
  「入口」の↑印下にちよこなんと猫の座りて朝日まぶしむ