天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雪崩(なだれ)

NHKテレビ映像から

 山岳地帯の積雪が、春先の温暖な気温により解け始め、下層が雪解け水でゆるんで大量の雪が一挙に崩れ落ちる現象。


     蒼穹に雪崩れし谿のなほひびく  石橋辰之助
     禅寺に間髪容れず雪崩音     橋本美代子
     天懸る雪崩の跡や永平寺      皆吉爽雨


  穴ごもるこの獣らも夜にやまぬ遠の雪崩の音を聞かむか
                      岡部文夫
  ―――、聴き終えて雪崩のあとのしずかさのかえるいのちを
  しんと抱けり              三枝浩樹


  しづかにて雪崩の音を待つといふ雷鳥の眼をおもひつつ眠る
                      河野愛子
  万物は冬に雪崩れてゆくがよい追憶にのみいまはいるのだ
                      福島泰樹