天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅花(べにばな)

NHKテレビ「新日本風土記」の映像か

 キク科ベニバナ属の一年草二年草。原産地のエジプト・地中海沿岸からシルクロードを経て、飛鳥時代に渡来した。古名を末摘花、紅藍、くれない とも呼んだ。7月の梅雨の時期から梅雨明けにかけて、真黄色の花を咲かせる。江戸時代においては、土も肥えて水はけもよい最上川流域は紅花の一大産地となった。


     まゆはきを俤(おもかげ)にして紅粉(べに)の花
                        芭蕉
     曲り家の牛鳴いてゐし紅の花   阿部月山子


  隣国の人らいそしみ摘みためし此の紅花の濃きてりを見よ
                      鹿児島寿蔵
  べにばなのすぎなむとして土乾く庭すみにしてわが涙いづ
                       五味保義
  うち開く花火の下の蓬生(よもぎふ)に額照らされて末摘花は
                       安永蕗子
  検非違使の一斤染(いつこんぞ)めの紅花のああいっときの
  ほのくれないの              沖ななも