天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

班猫(はんみよう)

NHKテレビの映像から

 ハンミョウ科の甲虫。道おしえとも呼ぶ。里山の道に多く現れ、人の歩く先へ先へと跳び歩くからである。幼虫は産みつけられた地面の穴に近寄る昆虫を捕食する。この習性を利用して、ニラの細長い葉を穴に挿し入れて、幼虫を釣りあげる子供の遊びがあった。夏の季語。


     班猫に道ゆづりたる気の弱り    清水基吉
     みちをしへ富士には隠れ道はなし  平畑静塔
     道をしへ岬の鼻に出てゐたり    塩川雄三


  わらわらと班猫のたつ雨後の土秋めきてあらき光と思ふ
                   石川不二子
  わが前を素早く走る班猫の捉えがたくて歳重ね来し
                    池田友幸