天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

熱海にて

熱海にて

 春、梅まつりの頃に泊りがけで熱海に遊んで以来である。猛暑の時期に来たのは、海水浴が目的ではなく、花火を見に来たのである。熱海の海上花火大会は、春夏秋冬を通じて見ることができるが、中でも夏季の頻度が最多で7回、次が冬季で3日、春、秋が2回ほどである。しかし今まで一度も見たことがなかったので、今回が初めてである。夜を待つまでに、熱海城と秘宝館で時間をつぶした。
熱海城は、錦ヶ浦山頂にある。この城は歴史的に実在したものではなく、昭和34年に建てられた。内部が9階の日本の城郭に見られる天守閣を模して造られた鉄筋コンクリート造である。天守からは、熱海市街・初島・大島・相模灘を一望できる。
熱海秘宝館は1980年の開業。全盛期の1996年には年間約17万人が訪れていたという。その後、団体・宴会旅行の減少で入館者も減った。ここ数年は、年間9万人前後らしい。なお、秘宝館とは、性風俗や人間の性・生物の性に関する古今東西の文物を収蔵した施設のこと。
 今回泊ったホテルは、一昔前の旅館風で、食事は部屋に運ばれる。トイレは和式。部屋付きの風呂場はやっとシャワーを浴びるほどの広さ。ただ、花火を部屋から真正面にすぐ近くに見ることができた。布団に寝て見上げることもできた。


     夜八時半に花火のうち上がる
     窓越しに花火見てゐる熱帯夜
     山の上の城の高さの花火かな
     山の端に月かたぶきて花火終ふ


  はしやげる若き男女の後につきサングラスして入る
  秘宝館


  熱海城地下一階にならべたり高名画家の浮世絵春画
  それぞれの流派の描きし春画には大きな違ひなくて
  欠伸す


  性交の体位示せる人形に名前を付けて四十八体
  海岸のホテルの部屋の窓越しに花火見てゐる熱海の夜は