ヤドカリ
ヤドカリ科とオカヤドカリ科の総称。古くは、寄居虫(がうな)と呼んだ。エビやカニと同じ十脚目。多くは巻貝の貝殻に体を収め、貝殻を背負って生活する。そのため体型が変形した。成長するに伴い、大きな殻に引越しをする。蛸や肉食魚が天敵。なお、タラバガニはヤドカリの仲間である。
俳句では春の季語になっている。
やどかりの恋や火山灰(よな)降る潮だまり
中井美佐子
石を這ふ音の侘しき寄居虫(がうな)かな
高田蝶衣
やどかりの殻(から)の如くに生くかぎりわれかなしみをえは
捨てざらむ 若山牧水
岩の間にたまる潮の透きとほりやどかりは水の底にて動く
大坂 泰
愚直なるおのれあざむき或る時は寄生蟹(やどかり)の習性を
愛してゐたる 杜沢光一郎
やどかりといへど生きとし生くるもの夜夜這ふ音を母はかなしむ
飯田高子