天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

波の歌(2)

明治三陸大津波の絵

 英語にもなっている津波は、地震や火山活動による海底地形の急変で海洋に生じる大規模な波である。高波、高潮、異常潮位などとは区別される。


  君をおきてあだし心をわが持たば末の松山浪も越えなむ
                  古今集・読人しらず
  秋の海にうつれる月をたちかへり波はあらへど色もかはらず
                  後撰集清原深養父
  いとどしく過ぎ行くかたのこひしきに羨ましくもかへる波かな
                   後撰集在原業平
  藤の花さかりとなれば庭の面におもひもかけぬ浪ぞ立ちける
                 後拾遺集大中臣能宣
  契りきなかたみに袖をしぼりつつすゑの松山なみこさじとは
                  後拾遺集清原元輔
  大海の磯もとどろに寄する波われて砕けてさけて散るかも
                   金塊集・源 実朝