天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

波の歌(3)

江ノ島にて

 和歌には、「浅瀬白浪」「荒浪」「沖つ白浪」「川浪」「ささ浪」「ささら波」「白浪」など、様々な形で詠まれた。


  須磨の関夢をとほさぬ波の音を思ひもよらで宿を
  かりけり          新古今集慈円


  底ひなき淵やはさわぐ山川の浅き瀬にこそあだ波はたて
                 古今集・素性
  風吹けば面がはりゆく田子の浦のこなみしもこそさが
  なかりけれ            源 重之


  風ふけば波のあや織る池水に糸ひきそふる岸の青柳
                   源 雅兼
  かなしくもかかるうきめをみ熊野の浦わの波に身を
  しづめける        建礼門院右京大夫


  渡つ海の浪もひとつに冱(さ)ゆる日の雪ぞかざしの
  淡路島山         新後拾遺集・為重