名月(3)
満月の夜には、次のようなおまじないをする風習もあるようだ。詳しいことは分らない。
・満月水を置く ・体にいいものを取り入れる
・願いを引き寄せる ・財布を振る
・いらないものを手放す ・パワーストーンのチャージ
・恋愛運のアップ
動くものなき満月の夜にして死におくれたるわれが立ちゐる
大塚陽子
もろともに愛(を)しき命は満月に遠く礼して吾と吾が犬
安永蕗子
あとずさりあとずさりして満月を冬の欅の梢(うれ)より離す
花山多佳子
欠くるなき満月ゆゑに端すこし切りすてやうか 虚空の暗さ
砂田尭子
つややかな裸身さしだしのぼりくるあれは天動説の満月
小高 賢
満月が欠くる過程の不可思議を三人の児等の問は異なる
市川敦子
ゲーム屋の従業員が店の前に満月を眺む春となりゐて
塩野崎宏
満月の滑り込みしか大いなる朱欒(ザボン)は今宵光を放つ
伝田幸子