天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

カンナ(続1)

大船フラワーセンターにて

 2009年7月28日の続きである。熱帯アメリカを中心に9種〜50種が分布する。日本には江戸時代前期にカンナ・インディカが渡来した(檀特(だんどく)と言った)。現在では河原などで野生化しているものがある。カンナはギリシア語で「葦」を意味するが、その草姿がアシに似ているところに由来しているという。


  金の蜂ひとつとまりて紅のかんなの色はいやふかきかも
                    岡本かの子
  喝采に似て炎天に咲きのぼるカンアの朱や声としてきく
                     保坂耕人
  くるめくはカンアの紅(あけ)か日盛りの庭にゆゑあらず
  異象を怖る              鈴木英夫


  わが丈をついにこえたる緋のカンア炎えてつよきは裡に
  響きて                山田あき


  カンア一本感情移入の入口でもえてしまった心庭晩夏
                     加藤克巳
  大き葉をひろげひろげて花びらの破れつつカンナ嗤へる
  ごとし                椎名恒治


  台風の日のただなかのしづけさにカンナは花の黒々と立つ
                    杜沢光一郎
  基地跡にカンアは赤く咲き乱れ自爆やあわれ戦死やあわれ
                     河村盛明