朱鷺(1)
トキは天然記念物になっている。かつては日本全国に分布していた水鳥。少数棲息していた佐渡の朱鷺は、1981年以降、野生のものはいない。羽は白色だが、風切羽が淡紅色、いわゆる朱鷺色。後頭に冠毛があり、顔は裸で赤く、脚も赤い。水田、湿地で泥鰌や田螺を餌にする。漢字表記では、鴾、鴇、朱鷺がある。
八羽行く鴇の写真のあはれさやわが同類としてぞ眺むる
吉野秀雄
朱鷺の住む森の真上にひろがれる空青ければ踵かへしぬ
太田青丘
白装束橋がかりしてふりかへり顔をあげしは朱鷺にてありき
太田青丘
あきらけく島山明けて空に鳴く声こそはすれ朱鷺渡るらし
宮 柊二
朱鷺いろを何に喩(たと)へていふとせむ腋(わき)羽根の
艶(えん)も佐渡に滅ぶと 大滝貞一
休めゐる羽根汚れゐき救世主朱鷺の生みたる卵やいかに
松坂 弘
[注]右上の画像は、web「旅館番頭の佐渡観光情報」
http://itouyaryokan.com/blog/1636.html から借用。