天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

イモリ(2)

NHKテレビ「キッチンが走る」の映像

 河豚と同じ毒をもち、斑点はその警告であるという。俳句では夏の季語。傍題に「赤腹」がある。紛らわしいものにヤモリがいるが、これは爬虫類で別種。


     いもり棲む神代の日より生きかはり  上村占魚
     木ノ芽峠雨霧赤腹湧出す       岡井省二
     恋薬とぞ這ふ井守踏みて啼かす   加藤知世子
     沈みゆくときのゐもりの楽しげや   本井 英


  手の甲に載せたるゐもりみじろがず人より優しき横顔を見せ
                      安田純生
  沙の上に横たふ井守ひとつをりこゑなきものの死は安からむ
                      岡部文夫
  うつむけば静かな水にぽっかりと井守が浮かぶ愚かそうで安らか
                      古谷 円