河豚と同じ毒をもち、斑点はその警告であるという。俳句では夏の季語。傍題に「赤腹」がある。紛らわしいものにヤモリがいるが、これは爬虫類で別種。
いもり棲む神代の日より生きかはり 上村占魚
木ノ芽峠雨霧赤腹湧出す 岡井省二
恋薬とぞ這ふ井守踏みて啼かす 加藤知世子
沈みゆくときのゐもりの楽しげや 本井 英
手の甲に載せたるゐもりみじろがず人より優しき横顔を見せ
安田純生
沙の上に横たふ井守ひとつをりこゑなきものの死は安からむ
岡部文夫
うつむけば静かな水にぽっかりと井守が浮かぶ愚かそうで安らか
古谷 円