天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

自転車(6/10)

競技用自転車

 自転車レースは自転車が発明されてすぐに始まった。走行距離も徐々に長距離化していった。1890年代には現在の形態のレースが始まり、1903年にはツール・ド・フランスがスタートした。当初は1日に500km以上も走る区間があるなど耐久レースとして争われたが、自転車製造技術の進歩や舗装路の普及もあって、スピードを競うスポーツへと変わっていった。
[注]日本自転車競技連盟「自転車と自転車競技の歴史」による。
   http://jcf.or.jp/?page_id=6069


  ぼろぼろに自転車は錆び南の島(ふえーぬしま)の海風(うみかじ)
  やさしきものにはあらず         渡 英子


  空気圧少なくなりし自転車の抵抗感に疲れてゐたり
                      高貝次郎
  わが駿馬横たへるごと厳かに二輪車寝かす風たける
                     春日いづみ
  いつかふと居なくなること案じあい二人乗りする動物園まで
                     なみの亜子
  自転車に乗り得し刹那男子(おのこご)は神を宿して眼
  (まなこ)明るむ             柴田典昭


  自転車を燃やせば秋の青空にぱーんぱーんと音がするなり
                      奥田亡洋
  自転車をあさのひかりに置きたれば夏空彦は機嫌をなほす
                      大辻隆彦