天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

自転車(5/10)

ミショー型

 日本に最初にもたらされた自転車は、ミショー型と呼ばれるもので、慶応年間(1865〜1868年)のこと。ミショー型は、木製の車輪に鉄の輪を巻きつけたもので、前輪にクランクとペダルを付けて車輪を回した。


  自意識に苦しむやうにキイキイと我が窓外をよぎる
  自転車               矢部雅之


  自転車の翼を漕げば天体の群がりひかる夜さえあるよ
                   阿久津 英
  彗星のかたちに髪をなびかせてリカ先生が自転車で来る
                    里見佳保
  雨ふればじやんじやん自転車漕ぎ帰るうれしさありて
  雨の香の息子           米川千嘉子


  自転車を漕ぎながら知る横浜は海に向かって低くなること
                    早川志織
  バックシートに畳まれてゆく自転車のむらさきの首ぐらり
  と折れつ              飯沼鮎子


  自転車で八百屋の棚に突っ込んだあの夏の日よ 緑まみれの
                    笹 公人