天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

泡(2/3)

NHKテレビ・サイエンスZERO映

 泡には汚れを対象物から吸い出すようにはがし取り、包み込む作用がある。石鹸や洗剤は、界面活性作用で汚れを石鹸水や洗剤水に溶かして落とす。なお温泉施設によっては、ジャグジーと俗称される「噴流式泡風呂」がある。



  酢のなかに沈める卵寒一夜苦しみの泡吐き続けたり
                      山下雅人
  菫(すみれ)いろの石鹸をまた泡だててゐる放心に立ち
  入るなかれ              生方たつゑ


  五月(さつき)の空うつす石鹸(しやぼん)の泡のなか病む
  ものの掌(て)を深くしづめつ       木俣 修


  洗いたき汚点秘めいて幾千のシャボンの泡に映りいる我
                      山森和子
  ふはふはと掌(て)に美しく泡だてて石鹸を無にかへさむとする
                      岸本節子
  沈船の窓よりのぼる泡よりもはかなきことをいまこそ言はめ
                     山田富士郎