朝日を詠う(4/4)
山崎方代は、1972年7月から神奈川県鎌倉市手広の鎌倉飯店店主宅の一角に住んだ。1974年には「めし」15首が『短歌』(1974年(昭和49年)9月)に掲載された。
ゆえしらぬ涙は下る朝の日が茶碗の中のめしを照せる
山崎方代
朝光の差し入る部屋にあらはるるみな光より遅れて在るもの
香川ヒサ
上がりきる鎧戸の外は朝日さし若葉かがやく柿のふたもと
片山貞美
われもまたひとつの連鎖しののめの昇る朝日をかなしみにけり
三井ゆき
色彩のありとあらゆる争ひの後に朝日は昇り来たりつ
本多 稜
持たざるは美しきかな裸木は朝日の中に神さびて見ゆ
棟居千鶴子
やはらかき野蒜抜きたり根の国の朝日のやうなその根ましろし
小松久美江