天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

白鳥の歌(2/9)

気品

 以下では、いわゆるハクチョウを対象とする。これはカモ科ハクチョウ属の鳥の総称。8種類いる。日本にはオオハクチョウコハクチョウの2種が冬鳥として渡来する。オーストラリアには羽が黒いコクチョウもいる。


  白鳥(はくてう)の鳴くこゑたえず聞こえゐる水の明るさ
  雪山ちかく            佐藤佐太郎


  白鳥の群とびたちてひとしきり雪山の上ゆれつつわたる
                   佐藤佐太郎
  たましひの澄みとほるまで白鳥の舞ふを見てゐて去り
  なむとする             岡野弘彦


  日本の春に離(さか)りて帰りゆく天つ白鳥(しらとり)の
  ごとく悲しむ            岡野弘彦


  病むきみにつね添うる手のひそかなれ白鳥老いて霜の
  羽交(はがい)す           山田あき


  この国の山河荒れたり白鳥の渡翔のつばさなみだのごとし
                    山田あき
  生ける魚生きしがままに呑みたれば白鳥のうつくしき
  咽喉うごきたり          真鍋美恵子


  とどかざる人の嘆きの彼岸よりただようごとくきたる白鳥
                   岡部桂一郎


[注]右上の写真は、次の「水鳥達の写真」から借用した。
http://big-swan.com/category/%E7%99%BD%E9%B3%A5%E3%81%AE%E5%86%99%E7%9C%9F/