天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

星のうた(6/12)

大マゼラン雲

 星月夜は星の明るい晩のことで、星の夜ともいう。星だけが耀いている星明りの夜である。


  月をこそながめ馴れしか星の夜の深きあはれをこよひ知りぬる
                 建礼門院右京大夫
  我ひとり鎌倉山を越え行けば星月夜こそ嬉しかりけり
                  二条皇太后肥後
  星月夜さやかに照れり風なぎて波なほ騒ぐ湖の音
                     島木赤彦
  げに星夜ヒマラヤシーダに触れてゐる糠星(ぬかぼし)いくたびか
  スパークせり             葛原妙子
  *ヒマラヤシーダ=ヒマラヤスギ。糠星=夜空にちらばって
   見える無数の星。


  たまかぎるわが眼のなかの星月夜眼疾といはばいふべき
  かそけさにあり           山中智恵子


  星月夜夜汽車走れり血走れり吉か不吉か近き夜明けは
                    佐佐木幸綱
  血のほかのなにかながれぬ 星月夜 眠りのふかき汝が
  掌を嗅げば              辰巳泰子


[注]右上の画像は、web「天体写真の世界」
     http://ryutao.main.jp/my_large.html
   から。