天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

弁当箱

弁当箱(「世界不思議発見」の映像から

 安土桃山時代には、現代でも見られるような漆器の弁当箱が作られるようになり、この時代より、弁当は花見や茶会といった場で食べられるようになった。それに伴い、弁当を持ち運ぶ入れものとしての弁当箱にも様々な工夫がこらされるようになった。ただ、現代短歌に詠まれた弁当や弁当箱の情景は、なんとも侘びしい。


  工場の夕食ののちさびしきに弁当箱の錆おとしつつ
                   松倉米吉
  酔ひ歩くときも携ふ弁当箱今宵は梅干の種が音する
                   小田朝雄
  鰯の背骨夫とわたしのそれぞれの弁当箱にのこりぬゆふべ
                   上村典子