天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

弁当

熊野古道弁当(「世界不思議発見」の映

 すぐ食べられるようにした携帯用の食料が弁当である。その語源は、「好都合」「便利なこと」を意味する中国南宋時代の俗語「便當」とされる。日本においては、弥生時代のおにぎりらしきものの化石が見つかっているが、弁当かどうかは判別できない。平安時代になると、「干し飯」という調理済みの乾燥米が携帯用の食料として利用されていたので、これは弁当と呼んでよい。
日本の代表的な弁当として、内容は省略するが、日の丸弁当、幕の内弁当、海苔弁当、松花堂弁当 などがある。現在では、外国でも「べんとう」という言葉はよく知られていて、国ごとに特徴のある食材が工夫されている。


  海苔敷きて塩ジヤケ載せたる弁当をつかひて昼を
  昔のごとし             島田修三


  弁当に梅干入れて昆布入れて、そんな私が英語を講ず
                    大松達知
  弁当の卵焼食ふ片方の端を今ごろ子も食ひをるか
                    小林信也
  部下四人ともに六十歳(ろくじふ)定年ののちの職場に
  弁当開く              伊勢方信


  もう抱けぬ重さの吾子の弁当に取りておくいちばん
  大きい苺             平岡三和子