天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

現代俳句の笑いー俗語・口語

小学館刊

 俳句の遠源は周知のように和歌であり、雅な言語の世界であった。そこに俗語や口語を導入することから新たに俳諧という分野即ち笑いの詩形が生まれた。
以下の例で、太字部が雅の世界からはみ出した笑いをもたらす俗語・口語のレトリックである。

     蒲公英や日傘ころげて仰向けに
     ねずみもちの実を見る胡散(うさん)臭さうに
     先生を青葉の雨が濡らします
     新聞をひろげつぱなし春炬燵
     桃食ふか食へよ戸隠の鬼の衆
     おもてうら春をひろげて孔雀です
     聴いてごらんひぐらし鳴いているよ


 参考までに芭蕉の例を次に。

     杜若(かきつばた)にたりやにたり水の影   芭蕉
     夕顔にみとるるや身もうかりひよん
     時雨をやもどかしがりて松の雪
     花にいやよ世間口より風のくち
     蕎麦もみてけなりがらせよ野良の萩