現代俳句の笑いーオノマトペ
周知のように擬音語(動物の音声や物体の音響を言語音によって表した語)と擬態語(事物の状態や身ぶりなどの感じをいかにもそれらしく音声にたとえて表した語)を総称してオノマトペと呼ぶ。なお広義には擬音語(擬声語とも)に擬態語を含めることもある。
川崎展宏の例句を以下にあげる。下線部がオノマトペである。
懐中電燈げらげら笑ふ藪がらし
ちよつちよつと貌なめに来る秋の蠅
夕風のぞつと冷えたる八重桜
落鮎のはたりはたりとたなごころ
身の内のこきと音して菊の酒
秋の宿はつと良寛の二字「無藝」
ぷつくりと莟ぱつちり梅鉢草
後で触れるが、比喩の面からは、オノマトペを音喩と呼ぶ。オノマトペを比喩の観点から解釈すると、深い鑑賞が得られることもある。
ちなみに川崎展宏はオノマトペを多用した現代俳人である。調査してみると、江戸俳人と比較しても一茶に次いで多い。これはオノマトペを含む副詞の使用頻度(カッコ内)でも同様である。
芭蕉: 1.23%。 (6.35%)
蕪村: 0.83%。 (3.78%)
一茶: 8.85% (13.2%)
展宏: 6.11% (10%)