天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

橋のうた(5/6)

高野山への極楽橋

 極楽橋について。大阪城に本丸北端の山里丸と二の丸を結ぶ全長54mの橋があり、極楽橋と呼ばれているが、一首目にある極楽橋南海電鉄高野線の終着駅(高野山ケーブルの入口)にある橋であろう。不動坂という高野山への参道に通じている。


  父の筆跡(て)に極楽橋と書かれゐる橋を渡ればふるさとの街
                    柴原恵美
  街道の起点なす橋埋もれゐて仰ぐ高架路空はひとすぢ
                   下村百合江
  せりあがり橋は流れに沿ひて遠く充ち充ちて弧を光幾重に
                   大河原惇行
  どの橋を渡れば到るにやあらむ生きるといふは限りなく橋
                    岡井 隆
  橋として身をなげだしているものへ秋分の日の雲の影過ぐ
                    渡辺松男
  水の面(おもて)に輪を描きて降りそむる雨ふれあい橋とう
  小(ち)さき橋あわれ         三枝浩樹


  あっさりと渡りしこの橋「犬と華人渡るべからず」
  歴史ある橋             日野さく