相模川(2/3)
寒川近くの相模川は、局地的な豪雨のせいで水嵩が増し、濁っていた。一羽の家鴨が、四、五羽の残り鴨と一緒に岸辺に遊んでいた。水浴びしたり丹念に羽づくろいをした後、みんなブロックの上に上って眠り始めた。不思議な光景であった。
川風に立ちて羽ばたく残り鴨
蝉しぐれ家鴨の眠り妨げず
昼顔の金網くぐる雀かな
梅雨明や白き家鴨を目に犯す
家鴨一羽鴨の四、五羽が川岸に漂ひあそぶ雨後のにごりを
北帰行忘れし鴨の一群が家鴨とあそぶ川の岸辺に
ふつくらと白き家鴨の羽づくろひ鶏姦想ふ岸の草叢
余念なく羽づくろひせる川岸の家鴨に鐘は正午告げたり
雨雲が北にはしれば煙突のけむりも北にたなびきにけり
鴨アヒル眠れる岸の上空に旋回したり模型飛行機
わが去るを薄目横目に見送れる白き家鴨をかなしむなゆめ
川をゆくゴミのごときか思ひ出は浮きつ沈みつわが前を過ぐ
寒川の八福餅とふお土産のひとつを食ひぬ宮山の駅
金網に捲きつき咲ける昼顔の花に寄りくる雀の親子
ふためきて駅のホームにとびきたる蝉は雀に追はれてゐたり