天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

相模川(1/3)

相模川河口

 神奈川県中部を流れる川。源は山中湖と言う。大月市で笹子川、相模湖の下流道志川を合せ、津久井湖、相模原を経て、海老名で中津川と合流、平塚市相模湾に注ぐ。上野原町附近の上流では桂川、河口付近では馬入川とも呼ばれる。


      満潮の夏の河口に投網かな
      ひきしぼる投網の中に鯔一尾
      夕光に投網ひろがる夏の川
      夏の海沖に出づれば波静か


  上流のダムの放流知らせるとサイレン音の鳴り方はあり
  水きりて白き投網をひきしぼる鯔のかかれば川に戻せり
  相模川夏の河口に時が経つ祖父の投網と孫の釣竿
  繰り返しうてど魚のかからざる投網あきらめ煙草とり出す
  しろたへの砂の浜辺の草叢に空瓶、空缶、昼顔の花
  突堤の釣人の影消えてをり霧たちこむる入江の漁港
  子供らに漁港見せむと舟二艘霧うすれゆく河口を出づる
  寄る波と返す波とがせめぎあひ大き渦なす河口の入江
  相模川河口に立てる橋脚を隠さうべしや霧吹きぬくる
  採る人もなくはびこれり海の辺の待宵草の黄なる花群
  釣舟に生計(なりはひ)たつる人々が稲荷を祀る河口のほとり
  ももづたふ石の柱に政治家の名前もありき港の稲荷


[参考]2007年6月4日のブログ「相模川