花火のうた(1/4)
このシリーズでは、過去にとり上げた花火の作品は省略する。
秋田県大曲の全国花火大会は、前日までの大雨や洪水で開催が危ぶまれたが、当日は晴天になり、滞りなく実施された。毎年、雄物川河川敷運動公園において、8月第4土曜日に開催されるこの花火大会の始まりは、明治43年に開催された諏訪神社祭典の余興花火とのこと。大正4年には、よりレベルの高いものを目指し全国花火競技大会と名前を変え、参加花火師の範囲を全国に広げた。
花火を見て湧き起る日本人の共通感情は寂しさらしいことが以下の作品群から分る。
野のはての港の空をあかるくしあがる花火の尺ばかりなる
尾上柴舟
偶然は寂しくて遠き夜の空に音ともなはぬ花火があがる
長沢一作
美しきものは瞬時に滅ぶとて惜しめばひらく次の花火が
筏井嘉一
いづこにか花火あがれり空をぬく音のさびしさやひとのさびしさ
河野愛子
上空に開く花火はたちまちに消えて夜の海照らすことなし
佐藤志満
花火果てし三河の空に青白く灯りてそびゆ五万石の城
三浦克子