天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

霊魂のうた(2)

白鳥

窪田空穂や木俣 修の歌は、なんとも哀切! 五島美代子の魂は、よくわかる気がする。前登志夫の歌は、どこかの村の風習を詠んでいるのであろうか。佐佐木幸綱の歌の宇宙駅とは、漫画「宇宙戦艦ヤマト」か「銀河鉄道999」からきているのだろうか? 「通過せし怪」も分からない。


  迎へ火の消えたる野辺の夕闇に魂よぶ子らの声ぞきこゆる
                       太田水穂
  秋の空大白鳥(おほしらとり)と高行くや魂のゆくへをわが
  追ひかねつ                尾上柴舟


  其子等に捕へられむと母が魂蛍と成りて夜を来たるらし
                       窪田空穂
  わがためになやめる魂をしづめよと讃美歌うたふ人ありしかな
                       石川啄木
  魂あへぎ一生(ひとよ)の道を定(き)めたりしその日も空に
  松は蒼(あを)かりし           五島美代子


  仮名(かな)文字(もじ)の小さき童話をひとつ書き亡(な)き
  わが童子の霊にささぐる          木俣 修


  燐ともし漂ふ村に魂呼ばふ青きさかなのある夕餉なり
                       前登志夫
  宇宙駅の一つを夜更け通過せし怪知りしより孤独なる魂
                      佐佐木幸綱