天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

感情を詠むー「笑う」(3/4)

  わが友の笑ひ聲に似つるをききしさへ人し戀しく思はるるなり
                       五味保義
  ただ一夜しろきほほゑみたたへたるいのちといはば夕顔をこそ
                       佐竹彌生
*夕顔の原産地は北アフリカまたはインドとされる。古くから日本でも栽培
 されていたとされるが、何時どの様に伝来したかは分かっていない。大きな
 果実を実らせる。この実を細長い帯状に剥いて加工したものが干瓢である。

 

  あれは笑いの運動の一団ならん数ふやしながらなかなか近づかぬ
                       高瀬一誌
  雨の海の鷗みてゐて気づきたりひとりの時にわれは笑ふ
                      石川不二子
  受けて起(た)つ前に男が微笑する癖愛(は)しきかな佐佐木幸綱
                       暜樹隆彦
  腕のなか身をのけ反らす笑ひごゑ春たぐられてくるごとき声
                       筒井早苗
*全体が官能的な表現。下句の直喩に感動!

 

  現実はかくのごとしと涙してまたほほゑみて氷みづを飲む
                      前川佐美雄

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夕顔