天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

友を詠む(7/7)

  気障なりし面影もなく杖による友の繰り言なだめつつきく
                      丸山郁子
*気障(きざ): 「きざわ(気障)り」の略。服装や言動などが気どっていて嫌な感じをもたせること。

  年積みて穏しくなりと思ふ友長く話せば以前と同じ
                      東野典子
*穏(おだ)し: おだやかだ、平穏である。

  山仕事を終えて降りくる友を待ち七年ぶりに橋に語らう
                      下南拓夫
  今日のため友が置きたる鹿の肉赤くやはらかくわが舌のうへ
                     楠瀬兵五郎
  とりあへずやりてみよとの口癖に励まされにき友生き給へ
                      安田恭子
  妻の死をいくどもいくども語るしかないのであろうこの冬を友は
                      吉川宏志
*なんともやるせない!

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鹿の肉