天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

島を詠む(3/3)

  憎しみと愛と残れる環礁(リーフ)の島ジュオン壮年にして我を待つとぞ

                        前田 透

*環礁: 環状に形成される珊瑚礁。 「ジュオン」が不明だが、憎しみと愛を分かち合った人と解する。

 

  島あれば島にむかひて寄る波の常わたなかに見ゆる寂しさ

                       佐藤佐太郎

*わたなか: 海の中あるいは海上

 

  遠つ世を神々天降り給ひしとふ蒲葵(クバ)高々と島を統べたり

                        楚南弘子

*蒲葵: 植物ビロウの漢名。ヤシ科の常緑高木、園芸植物。「ほき」とも呼ぶ。

 

  夢に来て夢に去りゆく島かげのはるか霧らいて見えずなりたり

                        栗明純生

  両手両足のばして仰向きに眠るわれに子どもははるかなる島

                        駒田晶子

*子どもと離れて暮らしているようだ。どのような事情があるのか。

 

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蒲葵(クバ)