天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

まつりごと・政治のうた(3/3)

  教師らを信ずるなくて一国の何の政治といきどほろしき

                        窪田章一郎

  政変のありとふ記事も日(にち)にちに遠きひびきを聞くごとく読む

                         山本友一

  恃むなき政治とすでに彼らいう少年ら輝やかに誇りし兵のなき国

                         武川忠一

  乱世を生き堪ふるとき閑人の口より出でて詩は胸に沁む

                         安田章生

  くらがりになつ柑の実と在るわれはさびしきわれは政治を嫌ふ

                         岡井 隆

  乱世と治世というもひとつにて踏めば卵の黄味がくずるる

                         川口常孝

  大衆と民衆の断谷填(う)めがたく童話にすぎぬ日本の政治

                         岸上大作

*「大衆」は社会の大多数を占める、特定の階級・立場に属さない一般的な勤労階級の人々の意を表す。それに対して「民衆」は国家や社会を構成する、被支配階級としての普通の人々の意を表す。(大辞林から)

 歌は、日本の政治は大衆と民衆を同一視している、とみているのだろうか。

 

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なつ柑の実