天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ルーブル美術館展

   恍惚の身を横たふる裸婦なればベッド離るる少年天使
   少女らは〈泉〉の裸婦を正視せず顔あからめて母の手を引く
   くつろぎて浴女の群るるトルコ風呂古典主義なる白き豊満
   女ゆゑ心ゆるせし浴槽の床にころがる血塗れのナイフ
   アトピーの治療に入れり浴槽の床にころがる血塗れのナイフ
   晩年の八十六まで尽きざりし古典主義とふ裸婦への執着
   結核に吐く血の色を塗りにけむわが子を刺せる「激怒の
   メディア」

   背を向ける裸婦の浮かべる尻笑窪「トルコ風呂」にも「オダ
   リスク」にも