天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

工作船展示館

    女子高生腿もあらはに群立ちて躑躅花咲く汽車道をゆく
    工作船展示館には熟年の人ばかりなる五月連休
    工作船展示館に見る赤錆の船首船尾の暗き弾痕
    荒波の海に撃ちたる銃弾は船首船尾に的中したり
    血湧き肉踊る映像わが方の命中精度高き銃撃
    銃撃に火の手あがれば毛布もて火を消さむとする黒き人影
    十四.五ミリ対空機関銃ロシア製なる二連装
    星印ボタン付けたる防寒着名ばかりにしてとても貧しき
    ロシア製と推定さるる型式の自動小銃、ロケットランチャー
    金日成バッジを着けて自爆せし工作員を誰か悲しむ
    喉元の黄なる海鵜は魚呑みて重き身体を羽ばたきて翔つ
    火をかけて海に棄てたる物のあり暗視カメラに瞬時ほのめく
    正確に目標追尾の機関砲光箭あまた波越えて飛ぶ
    上陸の渚想ひて覗き込む防水地図の薩摩半島
    一年を経て引き揚げし船なれど船首鋭き切先を上ぐ
    赤飯のパック弁当持ちたればそのかみ散りし日本の兵