天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

開成あぢさゐ祭

葵

         まばらなる早苗気にして植ゑ足せり
         鄙びたる唄や踊りや額の花
         酔芙蓉明神ヶ岳まなかひに
         立ち並ぶ幟と見えし葵かな
         鄙唄に顔のあからむ葵かな
         山出づるハングライダー雲の峰


   媼らのうたふ鄙唄気恥づかし赤き蹴出しの主婦ら踊れる
   白足袋に赤き鼻緒の雪駄はく足柄ささら踊りの浴衣
   おほかたは年寄りなりき鄙唄の踊りみてゐる日よけのテント
   土曜日の神社にこもる少女らが今に伝ふる川村囃子
   笛、太鼓、鉦の音聞こゆ足柄の畦ににぎはふあぢさゐの花
   山際に上昇気流あるらしく輪舞す三基のハングライダー
   紫陽花の日に焼けたるは粗々し早苗田に吹く足柄の風
   足柄の風にふかるるあぢさゐの畦が囲めるあをき早苗田