まばらなる早苗気にして植ゑ足せり
鄙びたる唄や踊りや額の花
酔芙蓉明神ヶ岳まなかひに
立ち並ぶ幟と見えし葵かな
鄙唄に顔のあからむ葵かな
山出づるハングライダー雲の峰
媼らのうたふ鄙唄気恥づかし赤き蹴出しの主婦ら踊れる
白足袋に赤き鼻緒の雪駄はく足柄ささら踊りの浴衣
おほかたは年寄りなりき鄙唄の踊りみてゐる日よけのテント
土曜日の神社にこもる少女らが今に伝ふる川村囃子
笛、太鼓、鉦の音聞こゆ足柄の畦ににぎはふあぢさゐの花
山際に上昇気流あるらしく輪舞す三基のハングライダー
紫陽花の日に焼けたるは粗々し早苗田に吹く足柄の風
足柄の風にふかるるあぢさゐの畦が囲めるあをき早苗田