天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

茅ヶ崎

半夏生

       女(をみな)らの茶室静まる半夏生
 

   応援の声背に受けて球児らは梅雨の晴れ間のグランドに散る
   打ち上げし白球待てる左翼手の足元まぶし緑の芝生
   球児らの声を背に聞く似顔絵の国木田独歩追憶の碑は
   竿かまへ波打ち際にあゆみよるサザンビーチの老いたる釣り人
   茅ヶ崎の松の林をわがゆけば馬手(めて)に聞こゆる夏の潮騒
   まなかひに牙立つごとき烏帽子岩弓手(ゆんで)にかすむ江ノ島
   の影

   釣り人が渚にひろふ 波に乗りうちあげられて跳ぬる銀鱗
   背の低き家に住みたり潮風の道にこぼるる凌霄の花
   キイウィの実の垂るる枝めぐらせて日陰つくれり家の庇に
   鼻水のやまぬけだるさ持て余し靴ひきずれるラチエン通り
   腰の肌あらはに見する女らがをさな児囲み笑ひさざめく