小田原・板橋
土鳩きてのみどうるほす梅雨溜り
樹高山・伝肇寺は、詩人北原白秋が三十四歳の大正七年から同十五年まで、「木兎(づく)の家」を建てて住んだところである。童謡「あわて床屋」「かやの木山」など多くの作品が生まれた。
水張らぬプールのそばに静まれりみみづく幼稚園の黄色のバスは
両端を木兎が支ふる石板のベンチに座る 榧の木の風
みんなみの国なつかしみ住まひせり海見晴るかす高台の寺
みみづくの家の姿を想ひみる榧の木の下榧の木地蔵
小田原板橋にある老欅荘は、電力王・松永安左衛門が六十歳になって始めた茶道のために建てた茶室のある山荘である。
蓮の花鯉あぎとひて寄り来る
背鰭くる蓮の浮葉をゆるがせて
蓮の花水面鳴らせる鯉の口
猿出づる茶室の木立額の花
天平、奈良、平安の世の石造り庭に据ゑたる茶人山荘
蓮池の水面に尻尾うちつけて夏を惜しめるシオカラトンボ
風化せる戊辰の役の慰霊碑も守られてあり街道の寺
小田原や板橋見附の街道に「TOFU SHOP」の看板かかる
今日まで平塚の七夕祭である。
赤き帯桃色浴衣そろへたり乙女ふたりの七夕まつり