天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

運河

車中では、まだ途中の『子規句集』を読んだ。現代から見ると子規の俳句は、おおかたが凡作であり、俳壇の選には入らないであろう。当時としては新鮮だったのだ。そのような句が並ぶ中で、ちょっと惹かれたのは、次の句である。
       春風にこぼれて赤し歯磨粉
現在はほとんどが練歯磨なので、歯磨粉自体が珍しいが、それが更に赤いということで、なんとも現実離れしたイメージが顕つ。
 今日は一日品川駅近くの会議場で過ごした。メンターグラフィックス社主催の電子回路設計フォーラムに出席したのである。昼食付で参加費無料。設計技術の動向がわかるので、年配の参加者も多い。品川駅付近は、新幹線の駅ができてから様変わりした。企業のビルがいくつも建っているのでオフィス街になりつつある。昼食時になると、丸の内界隈同様、道端に弁当屋がパラソルを拡げて並ぶ。

       入りくめる運河が臭ふ残暑かな
       鰡跳んではつかに臭ふ運河かな
       鰡一尾跳んで静まる運河かな
       をさな児がおしろいを摘む夕日影
       をさな児がおしろいを摘む祖母の掌に