約束ずくめ
正岡子規の俳句の新しさについて考えている。以前にも書いたが、蕪村の影響が目立つ。俳句革新は具体的にどこにあるのか、素材の取り上げ方、言葉遣い、助詞・助動詞の使い方、オノマトペ、古典のふまえ方、リフレインなど多方面から江戸期の俳諧との違いを分析してみなければ、はっきりしない。研究書もあるはず。簡単なことなので、当時の新しい素材をどれほど取り入れているか、
句集を見直してみたが、それほど多くもないし、奇抜なものもない。例えば、
汽車行くやひんと立ちたる田草取
蕣(あさがほ)や君いかめしき文学士
電信の棒隠れたる夏野かな
この程度である。とりたてて感心するような修辞もないし、子規の句として有名でもない。少数の例からの即断は禁物だが、革新は単なる素材にはなかった、といってよかろう。
動かすに約束づくめのプログラム還暦すぎてさらにうとまし
考へる人作る人分化して現代文明追随できず