天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春の夢

 「歌壇」五月号に特集「短歌と地名―地名という磁場」がのっている。大変面白い。中でも小池光の論文は秀逸。いつものことながら文章の切れの良さと読み易さ、そしてなにより独自の視点に感心する。
 
      腰を抱く続きを見たし春の夢
      回遊の鯉の背に降るさくらかな
      頭に肩に櫻蕊降るベンチかな
      枝垂れては花とみまがふ御籤かな
  やはらかに柳あをみて蔭なせり予科練同期生の札かかりたる
  晴れやかに石燈籠の立てり見ゆ土台隠せる山吹の花