天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

結句で決める

 七月号の角川「短歌」の特集は、「一首をひきたてる結句のつけかた」である。面白いので我流にまとめておく。
*意表をつく新鮮さ
   疾風はうたごゑを攫ふきれぎれに さんた、ま、りあ、
   りあ、りあ              葛原妙子
   雷鳴れば鳴る方を見て教室のわが少女らは敏き水鳥
                      高野公彦

*結句を重く(字余りにする、現在形・リアルにする、係り結びで
 荘重に)
   物いはぬよものけだものすらだにもあはれなるかなや
   親の子を思ふ             源 実朝
   いちはやく夕陽の領となる壁におもひ描かむ世紀末
   都市パリ               小池 光
   父死ぬる家にはらから集まりておそ午後(ひるどき)に
   塩鮭を焼く              土屋文明
   石亀の生める卵をくちなはの待ちわびながら呑むと
   こそ聞け               斉藤茂吉

ただ、葛原妙子の結句は、真似られない。二番煎じではもはや新鮮さは出ないから。
小池の歌は、単に字余りだけでなく、取り合わせで読ませる。