天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

三崎の三御所跡

白秋記念館と白秋碑

 「短歌人」の今年の夏の大会が、湘南国際村で開催されることを先日紹介した。せっかくの機会なので、宿泊を一日増やして北原白秋の『雲母集』の現場である三浦三崎を訪れてほしいと思っている。ただ、このところしばらく行っていないので、確認しておきたく出かけた。三御所旧跡を中心に見てきた。


見桃寺(桃御所旧跡)
  以前はなかった鉄柵の門が出来ている。ちょうど和尚さん夫妻が
  でてこられた。お参りですかと聞かれたので、白秋の歌碑を見たい
  というと、よければ扉を開けて本堂の仏さんも拝んでください、
  ということで庭に入れてもらった。歌碑には次の歌が白秋の自筆で
  書かれている。
    寂しさに秋成が書讀みさして庭に出でたり白菊の花


     白秋の歌碑のほそ字や花柘榴
     秋成の書読み疲れ花ざくろ

     
本瑞寺(桜御所旧跡)
  山門のすぐ右手に俳人・松本たかしの墓とその後ろに「宝珠不壊
  蘇鉄の花の秋に入る」の句碑がある。「仏心を象徴する宝珠は永久
  に壊れることはない」という意味の宝珠不壊という仏語をもって
  蘇鉄の花の風格を詠ったものという。

     梅雨晴の屋根より高き蘇鉄かな
     宝珠不壊句碑読む間にも蚊に食はれ


大椿寺(椿御所旧跡)
  境内に欅の大木が二本あり、幼稚園を経営している。

     緑陰や慈母観音と園児たち


城ヶ島大橋

     くちなはの子が首もたぐ石の階
     大橋の影うつろへり三尺寝


白秋記念館
  月曜日が定休日である。夏の歌会は、土曜日午後とに日曜日
  一日なので、ここまで見にくるとなると金曜日か土曜日の
  午前中しかない。資料が展示されているし案内書も売っている。
  受付の女性と白秋のことについて話をすることも楽しいはず。

     橋見上ぐ梅雨の晴れ間の白秋碑


  叫び飛ぶつばめなれどもぬれぬれと巣に近づける黒き嘴
     あぢさゐや木の下陰のなまめかし