天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

三浦海岸・北下浦

牧水夫妻歌碑

 昨年十一月五日の日記の一部を再録する。そこでは、荒崎、北下浦、三浦大仏と盛りだくさんに書いたので、後で記録として探すときに不便なのである。


京急長浜駅で下りて海岸沿いの道路134号線に行き当たる辺りに長岡半太郎記念館と若山牧水資料館がある。そして、整備された海岸沿いの公園に、歌碑が二基建っている。新しいものは、昭和六十二年文化の日の建立で、牧水の歌、息子の旅人の書である。
  海越えて鋸山はかすめども此処の長浜浪立ちやまず


古い方は、夫婦歌碑と呼ばれているもので、昭和二十八年の建立。片面に牧水の名歌
  しらとりはかなしからずやそらの青海のあをにもそまずただよふ


大正四年に妻の病気の療養にとここ北下浦に移ってきた。この歌はすでに明治四十年には出来ていたので、この地で詠まれたものではない。
その裏面に妻・喜志子の歌で
  うちけぶり鋸山も浮び来とうみのみちしほふくらみ寄する
            大正四年秋 北下浦にて詠む

と見える。北下浦には一年九ヶ月ほどの滞在であった。