天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

いまさら和歌文学

 短歌人夏季集会における三枝昂之の講演で大変良い本だと紹介のあった藤平春男の歌論を、インターネットで探したら数巻あり、それぞれが一万円以上するので、買うのをあきらめた。その代わり、勉誠社・和歌文学講座の内の「和歌の本質と表現」という一巻を購入した。定価四千八百円と高価なのが痛いが、藤平春男が責任編集で、大勢の執筆者が、それぞれのテーマを担当している。例えば次のような魅力的なテーマがある。
  日本的美意識の形成と和歌 :: 久保田淳
  日本語の特質と和歌表現  :: 渡辺 実
  和歌の韻律        :: 赤羽 淑
  和歌のレトリック     :: 尼ケ崎彬


 なお、この和歌文学講座には、他に「万葉集」「古今集」「王朝の和歌」「新古今集」「中世の和歌」「近世の和歌」「近代の短歌」「現代の短歌」という全十講座があり、企画の意図がなかなか魅力的である。曰く、現在の時点での学問的水準を十分に示しうる的確な知識の提供であり、知的要求を満たすと共に、創作においても、伝統を顧みてそこから現代人の抒情をより広く自由な世界に開放する指針を示したい、という。
なんとなく揃えたくなってしまう。でも、揃えるだけなら金とスペースの無駄使いになるので止める。「和歌の本質と表現」については、多分、かなり多くのことはすでに学習済みなので、読み終えるのにさほど時間はかからないであろう。